十九歳のジェイコブ

中上健次の小説を舞台化。松井周の脚本も素晴らしく、松本雄吉の演出は味がよく出ていた。すごいのは、役者。シークエンスがころころ切り替わるが、テンションの高い演技を常にしているのにもかかわらず、それをある一点に保ちつ次のシークエンスに移り変わ…

コンタクト・インプロビゼーション

濱口竜介監督『不気味なものの肌に触れる』に砂連尾理のコンタクト・インプロビゼーションのワークショップの場面が出てくる。2人の人物がお互いの肌に触れないギリギリのところで、互いの微細な動作を把握し反応し合うとあうもの。触れずに感じるものに意識…

印象派

愛知県立美術館で印象派展を見る。モネ、セザンヌの確立した印象派からスーラ、シニャックの新印象派、点描の技法の到達点としてモンドリアンの抽象に行き着く流れがよくわかった。中途で登場するゴッホは自身に繊細さを要求される点描の技法が馴染まず、そ…

丸ノ内

東京ステーションギャラリーの英国現代美術展はいまひとつ。ブリティッシュカウンシルのコレクションとのことだが、キュレーションがあまりよくない気がした。ただ、この美術館の立地は駅直結で素晴らしくよく、普段現代美術展に足を運ばない一般層を呼び込…

横須賀美術館「白髪一雄」展

品川から京浜急行に乗って1時間弱、浦賀の駅に降り立つ。そこからバスで15分、観音崎に到着。バス停より徒歩5分あまりで横須賀美術館に辿り着いた。東京からだと長い道のりである。小旅行に来たような気分が、気持ちを高揚させる。東京湾を遠望するこの…

『4.48 サイコシス』

『4.48 サイコシス』あうるすぽっと舞台と客席を反転させた演出に、まず驚く。ひな壇状の舞台上客席の一番上に座ると、舞台となる、あうるすっとの客席スペースが遠望できる。この俯瞰の視点とパースペクティブは、非常に新鮮である。まるで箱庭を眺めるよう…

『転倒する快楽』

ロバート・スタム著『転倒する快楽』を読む。日本語で読める数少ないブラジル映画研究の書だが、ブラジル映画研究を中心にしているのではなく、バフチンの理論、主にカーニバル、ポリフォニー、ヘテログロッシアなどの概念を映画分析や文化研究に応用してい…

『戒厳令下チリ潜入記』

チリの亡命映画人、ミゲル・リッティン監督作品。前半部で1986年に潜入したチリの現状を取材し、首都サンチャゴから北部の鉱山集落へと移動していく。後半に1973年9月11日の軍事クーデターを中心に、サルバドル・アジェンデの実像と歴史を、その…

「シネ・トランス」と「トランス・ブレヒト」

遅ればせながら、近代美術館で行われたブラジル展の際の講演会を元にした、赤坂大輔さんのテキストをウェブで発見し、そのなかで、ジャン・ルーシュが「シネ・トランス」(cine-trance)という概念を提示しているということを初めて知る。この概念を説明すれば…

インタラクティブ・シネマ

日本版「フューチャー・シネマ」展のカタログに、インタラクティブ・シネマの元祖的存在として、「ヨーゼフ・スヴォボダ」という人物が紹介されている。インターネットで調べたところによると、まず舞台美術家としての紹介が散見される。クラシックのコンサ…

メモ

気になる三本。解説は"all cinema online"より。 『アパートメント・ゼロ』ブエノス・アイレスを舞台に、一人の神経症的な青年が巻き込まれた事件を描くサイコ・サスペンス。エイドリアンは部屋代の節約のため、ルームメイトを募集した。やってきたジャック…

ニカラグア映画

『アルシノとコンドル』 1982/ニカラグア/メキシコ/キューバ/コスタリカ http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=1461

さらに見たい、サン・ラ出演の映画

『Space is the Place』というサン・ラが出演している映画があるらしい。野田努『ブラックマシン・ミュージック』にその話しが出てきた。とても気になる。 http://www.imdb.com/title/tt0072195/

ドキュメンタリー・ドリームショー 山形in東京2004

10回券とやらをつい買ってしまった。一度も山形へは行ったことがないのだが、来年こそはぜひ行きたい。今回東京で上映された作品は魅力的なものが多かった。そのなかで見たものを総括。 『10 Minutes Older』 ソ連/1978/ヘルツ・フランク 『フラッシュバ…

今見たい、和製レヴュー映画

『春の饗宴』 1947/東宝 山本嘉次郎 『銀座の踊子』 1950/東宝 田尻繁 『青春ジャズ娘』 1953/新東宝 松林宗恵 『娘十六ジャズ祭』1954/新東宝 井上梅次 10月10日、NHKアーカイブスで日劇についてのドキュメンタリー番組を再放送し…

Dance in Cinema

オリベホールにて、珍しい上映企画が行われた。脈絡のないセレクトによって古今東西の映画が一同に会する。しかし、上映されることのあまりない珍しいフィルムが見られた貴重な企画であった。三本の強烈なフィルムに出会う。 『リオ40度』 1956年/ブ…