『4.48 サイコシス』

『4.48 サイコシス』あうるすぽっと

舞台と客席を反転させた演出に、まず驚く。ひな壇状の舞台上客席の一番上に座ると、舞台となる、あうるすっとの客席スペースが遠望できる。この俯瞰の視点とパースペクティブは、非常に新鮮である。まるで箱庭を眺めるような感覚。あちらに広がる世界が、客席としてのこちらとかけ離れた場所に見えるのは、舞台緞帳を通常とは逆の内側から見ることに起因しているのではないだろうか。舞台の枠組みの中で起こっていることではなく、舞台の外の現実を、ある視点から俯瞰することから、物事が起こっているのである。もしかしたら、この視覚は写真に近いのかもしれない。ピンホールカメラのような、箱状のものの内部にある感覚。飴屋法水の演出は素晴らしかった。